あまり人には知られていない、しかし素敵な場所、というのは、自分の足で見つけるしかありません。
それも、「よし、秘境を見つけに行くぞ」と探して見つかるものでもありません。狙っていけるような場所はきっとすでに有名な観光地です。
特に当てもなくいろんなところをブラついて、面白そうだと思ってフラっと入ってみたら実はすごく良いところだった、そんな見つけ方をする(しかない)ものです。
一人旅が好きな自分には、レストランから景勝地まで、そんな偶然の発見による「興味深いスポット」のリストがあります。
そうやって自分の足で稼いだ自分だけのリストなので、普段はなんとなく出し惜しみしてしまうものですが、最近再訪して、ここはあまりにも美しいので出し惜しむのはもったいない、と思ったスポットを1つ紹介しようと思います。
それが、伊豆半島の最南端、石廊崎です。
写真の通り、広大な太平洋を見渡せる絶景スポットです。
日本は島国なので、海が見えること自体は珍しいことではありませんが、それでも石廊崎が特に素晴らしい理由は、海の見え方、文化、そして見つけにくさあります。
石廊崎は伊豆半島の南端に位置していますが、さらにその岬の先端は細い岩石が隆起して海に突き出た地形になっています。
もうあと1歩踏み出したら落っこちる、というギリギリのところに柵が張ってあり、断崖のふちまで行くと、前方だけでなく左右そして眼下まで、視界の全てが海で満たされるという珍しい景色を味わえます。
しかも方角的に、海上に大きな島がなく、水平線が障害物なく見えます。「地球の丸みが見える」という観光情報も嘘ではなく、本当にゆるやかに曲がる水平線が見えるのです。
日本に海が見える場所は多いと言えど、このような条件が整っている場所はそうはないでしょう。
この岬に立ち、雄大な海を眺めると、なんとも言えない自然の神秘を感じると同時に、岩に打ち付ける波や絶壁には自然の厳しさも感じます。
そう感じるのは昔の日本人も同じだったのでしょう、ここ石廊崎には、1,300年も前に神社が建てられました。なんと奈良時代のことです。
岬の先端、絶壁ギリギリの岩にはしめ縄がかけられ、小さなお社がちょこっと建っています。
1,300年にも渡って、人々は同じ場所に来て、同じ景色を見て、同じ神々しさを感じていたと思うと、長い歴史を通じて変わらない日本人の感性が思い起こされるようです。